「ここなら安心だと思ったのに…」
「聞いていた話と、まったく違う…」
「こんなはずじゃなかった…」
有料老人ホーム紹介センターで約20年、
1,000件以上の相談を受けてきましたが、
この言葉は何度も耳にしてきました。
実は、老人ホーム選びで失敗するご家族には
はっきりした共通点があります。
それは――
「施設の“名前”を信じすぎていること」です。
介護付き、住宅型、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)。
これらには「国が定めた分類(制度上の定義)」があります。
ですが、
いまの現場は、定義通りに動いていません。
むしろ、
名前と中身がまったく違う施設
が、増え続けています。
だからこそ、
種類だけで選ぶと
ミスマッチが起きるのです。
国が定めている「施設の分類」と基本的な定義
まず、制度上の分類を
整理しておきましょう。
① 介護付き有料老人ホーム(特定施設)
制度上の定義
施設そのものが
「介護保険事業所」として指定されており、
入居者は施設職員から直接介護を受けられます。
基本的な特徴
・24時間職員常駐
・施設職員が介護を実施
・医療機関と連携している
・看取り対応あり(施設による)
・費用は比較的高め
向いている人
・認知症の症状がある
・すでに要介護状態
・家族が遠方
現場の実態
「介護付き」と言っても、
・人員体制が弱い施設
・医療対応が限定的な施設
・看取り対応できない施設
など、
中身にはかなり差があります。
② 住宅型有料老人ホーム
制度上の定義
介護サービスは
施設ではなく「外部の介護事業所」と契約します。
基本的な特徴
・生活支援が中心
・介護は別契約
・料金が分かりづらい
・契約が複雑
向いている人
・今は元気
・自由重視
・将来のための備え
現場の実態
最近は、
✅ 施設内で介護付並み対応
✅ 実質、介護付きと同じ体制
✅ なのに料金は別建て
という施設が増えています。
制度上は住宅型でも、
中身は“ほぼ介護付き”というケースもあります。
③ 健康型有料老人ホーム
制度上の定義
健康な高齢者向け施設で、
介護状態になると退去が原則です。
特徴
・自由度が高い
・アクティブ向け
・介護対応はほぼなし
✅ なお、今は健康型のホームは
ほとんど存在しません。
④ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
制度上の定義
高齢者が安心して住めるよう、
「安否確認・生活相談」が義務付けられた賃貸住宅です。
基本的な特徴
・介護付きではない
・介護は外部利用
・住居扱い
よくある不満点
・部屋が狭い
・医療体制が不安
・重度者対応が中途半端
最近の変化
最近は、
✅ 医療に特化したサ高住
✅ 重度者対応に特化したサ高住
✅ 看取り対応可能なサ高住
も増えています。
つまり、
サ高住も“二極化”しています。
ミスマッチが増えている本当の理由
制度と現場が
かみ合っていないからです。
・名前と中身が違う
・説明と実態が違う
・パンフレットと現実が違う
これが
「こんなはずじゃなかった」を生んでいます。
現場で実際にあった失敗例
ケース①
住宅型なのに、
介護が増えるにつれて
月額が想像以上に高額になった。
ケース②
「医療が強い」と言われて入った
サ高住だったが、
実際は寝たきりの人が多く、
孤立感が強かった。
ケース③
介護付きなのに
夜間対応が弱く不安だらけ。
しかも、医療行為が必要になった途端、
「対応できない」と退去を求められた。
絶対に見るべきチェックポイント
名前ではなく、
必ずここを確認してください。
✅ 実際に誰が介護しているのか
✅ 医療連携の中身
✅ 重度化したときの対応
✅ 最後まで住めるのか
✅ 夜間の職員体制
✅ 月々かかる「その他費用」
✅ 入居者の平均介護度
結論|判断材料は「分類」ではなく「中身」
今は、
・介護付きなのに介護力が幅広い
・住宅型やサ高住なのに介護付き並み
・外部利用しながら、実質施設対応
そんなホームが増えています。
だからこそ、
種類だけで判断すると、
ミスマッチが起きやすいのです。
まとめ|種類は「入口」にすぎません
大切なのは、
✅ 中身を見ること
✅ 説明を鵜呑みにしないこと
✅ 現場目線を持つこと
です。
この記事が、
あなたとご家族にとって
後悔しない選択のヒントになれば幸いです。
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