20年の現場から見た「有料老人ホーム紹介センターの上手な使い分け方」
その紹介センター大丈夫?
有料老人ホーム紹介センターの選び方と落とし穴
「まず、どこに相談したらいいのか分からない」
「ネットで申し込んだけど、なんとなく不安…」
これは、私が有料老人ホーム紹介センターで20年以上働く中で、何度も耳にしてきた声です。
今は、
- ネットの紹介センター
- 対面で相談できる紹介センター
- ケアマネジャーや地域包括支援センター
- 病院の相談室
- 広告やネットで自分で探す
など、“入口”が多すぎて、
「有料老人ホームを選ぶ前に、相談先を選ぶのが大変」になっています。
しかも、紹介センターにもいろいろなタイプがあって、
使い方を間違えると、
「安いと思って決めたのに、あとからいろいろ費用が増えた」
「思っていた介護・医療体制と全然違った」
といった ミスマッチや後悔 につながります。
この記事では、
- ネット紹介センターと対面式紹介センターの違い
- それぞれのメリット・デメリット
- ケアマネ・地域包括など他の相談先との違い
- 現場を20年見てきた立場からの「上手な使い分け方」
を、できるだけ分かりやすく整理してお伝えします。
有料老人ホームの相談先が増えすぎている現状
少し前までは、
- 地域のケアマネジャー
- 市区町村の窓口(地域包括支援センター)
- 病院のソーシャルワーカー
あたりが主な相談先でした。
ところがここ10年ほどで、
- インターネットの紹介センター
- 駅前などの店舗型紹介センター
- ショッピングモールの相談窓口
などが一気に増えて、
「どこも無料です」と書いてあるので、違いが分かりにくい 状態になっています。
結果として、
- どういう仕組みで成り立っているのか
- 紹介されるホームに偏りがないのか
- どこまでサポートしてくれるのか
をよく分からないまま、
なんとなく勢いで申し込んでしまうケースが増えています。
有料老人ホームの主な相談先は4つ
まず全体像を整理します。
有料老人ホームの相談先は、大きく分けて次の4つです。
- インターネットの紹介センター
└ サイト上で条件を入力したり、電話・メールで相談するタイプ - 対面式の紹介センター(店舗・窓口・訪問型など)
└ 実際に会って相談したり、見学に同行してくれるタイプ - 公的な相談先
└ 地域包括支援センター、ケアマネジャー、病院の相談室など - 自分で直接探す
└ インターネット検索、チラシ・広告、知人からの口コミなど
この中から、
ご家族の状況や性格、時間の余裕 に合わせて、
「組み合わせて使う」のが理想です。
ここからは、それぞれの特徴を見ていきます。
ネット紹介センターの特徴とメリット・デメリット
ネット紹介センターのメリット
- 24時間いつでも情報収集ができる
- 資料請求や一括問い合わせが簡単
- 多くのホーム情報を持っていることが多い
- 匿名で相談できる場合もある
忙しいご家族や、まずはざっくり相場観を知りたい方には、
入口としてはとても便利 です。
ネット紹介センターのデメリット・注意点
- 実際に相談員と「対面で話す機会」がない場合も多い
- メール・電話中心で、細かいニュアンスが伝わりにくい
- 紹介センターによっては、
提携しているホームを優先して紹介する傾向 がある - サイトに載っている情報が、現場の実態とズレていることもある
特に気をつけたいのは、
「ネット上で見る条件」=「現場での実際の対応」
とは限らないという点です。
- 住宅型なのに、実際は介護付きと同じようなサービスをしていたり
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)なのに、
ほとんどの入居者が重度の要介護で、雰囲気が想像と違ったり
制度上の分類と、現場で提供されているサービスがズレているホームが増えている ため、
ネット情報だけで決めるのはとても危険です。
対面式紹介センターのタイプ別メリット・デメリット
対面式の紹介センターといっても、実はいろいろなタイプがあります。
ここでは分かりやすく、4つに分けてみます。
- 店舗型・窓口型(駅前・商業施設内など)
- 訪問・同行型(自宅や病院に来てくれて見学にも同行)
- 病院内窓口・行政委託的な紹介窓口
- 自社グループ色が強い紹介センター
① 店舗型・窓口型の特徴
メリット
- 予約なしでも立ち寄れることが多い
- パンフレットや資料が豊富
- 図や地図を見ながら相談できる
- その場で複数の候補を比較しやすい
デメリット・注意点
- 忙しい時間帯は、相談時間が短くなりがち
- 店舗の雰囲気に気圧されて、ゆっくり考えられない人もいる
- 相談員の経験や知識にバラつきがある
- 特定の施設にすすめるところもある
② 訪問・同行型の特徴
メリット
- 家族の状況や家の様子を見た上でアドバイスしてくれる
- 見学に一緒についてきてくれるので、
聞きにくいことも代わりに聞いてくれる - 比較のポイントをその場で整理してくれる
- 自分で見たホームの生の情報を聞ける
デメリット・注意点
- 相談員との相性の影響が大きい
- 「その人に任せきり」になりやすく、
自分で考える機会が減ってしまうことも - 特定のホームや強引な誘導をする所もある
③ 病院内窓口・行政に近い窓口の特徴
メリット
- 医療・介護の連携について詳しいことが多い
- 緊急度の高いケースに慣れている
- 中立的な立場でアドバイスしてくれる傾向がある
デメリット・注意点
- 紹介できるホームの範囲が限られていることがある
- 「空き状況」を優先して話が進みがち
- じっくり将来の希望まで聞く時間が取りにくい
④ 自社グループ色が強い紹介センター
メリット
- 自社グループのホームについては情報量が多く、詳しい
- 入居後の流れもイメージしやすい
デメリット・注意点
- どうしても自社グループを優先しやすい
- 他社ホームとの比較が十分でない場合がある
- 「選択肢が広く見えて実は狭い」と感じる方もいる
ケアマネ・地域包括・病院ソーシャルワーカーに相談する場合
公的な相談先の良さ は、
- 利用者の立場に近い視点で考えてくれる
- 特養・老健・小規模多機能など、有料老人ホーム以外の選択肢も含めて考えてくれる
- 長期的な生活プランを一緒に考えてくれる
という点です。
ただし、
- 有料老人ホームの「細かい違い」や「最新の空き状況」には詳しくない場合もある
- 特定のホームとの付き合いが長く、紹介先が偏ることもある
- 忙しくて、じっくり比較相談する時間を取りにくい
- ホーム一覧だけ渡される
という現実もあります。
広告や自分でネット検索だけで決めるリスク
もちろん、自分で情報を集めて決めるのも1つの方法です。
ただ、20年の現場でよく見てきたのは、
- 「安さ」だけで決めて、後から追加料金に驚くケース
- ホームページの写真の雰囲気と、実際の雰囲気が全然違ったケース
- 医療・介護の体制をあまり確認しないまま入ってしまい、
介護度が上がった途端に「退去の話」が出てしまったケース
です。
パンフレットやホームページは、
どうしても「いいところ」が中心に載ります。
だからこそ、
第三者目線で「弱点」や「向いていない人」も教えてくれる相談先を持っておくこと が大切です。
20年の現場から見た「紹介センターの上手な使い分け方」
ここからが、この記事で一番伝えたい部分です。
① いきなり1社に絞らない
最初から1つの紹介センターだけに決めてしまうより、
- ネット紹介センターでざっくり情報を集める
- 気になったエリアやホームについて、対面の相談センターで深掘りする
- ケアマネや地域包括とも話をして、他のサービスも含めて全体像を確認する
というように、
情報源を“重ねる”イメージ が安全です。
② 自分の「軸」を先に決めておく
紹介センターに相談する前に、
- 絶対にゆずれない条件は何か(場所・予算・医療・看取り など)
- 逆に、妥協できる条件はどこか
- 今だけでなく「2〜3年後の状態」も想像したときに必要になりそうなことは何か
をざっくり整理しておくと、
相談員もあなたの味方になりやすくなります。
③ 紹介センターに必ず確認してほしいポイント
相談するときは、ぜひ次のような質問をしてみてください。
- 「そのホームと紹介センターさんの関係を教えてください」
└ グループホームなのか、提携先が多いのか など - 「このホームが苦手なケース・向かないケースはどんな人ですか?」
└ 良いことだけでなく、弱点も聞く - 「見学のとき、どこを見るべきですか?」
└ あなたの代わりに“チェックリスト”を作ってもらうイメージ - なぜ?私にこのホームをすすめるのか?が根拠をもってすすめられるのか?
- 実際貴方は、このホームを見て、雰囲気や、環境、実態を見てすすめてるのか?
- 今まで、入居した方のご意見はどうか?
上記の質問に、正直に・具体的に答えてくれる紹介センターは信頼度が高い と私は感じています。
まとめ:ホーム選びの前に、「相談先選び」で後悔しないでほしい、自分で見てもいないのに、パンフレットやネットの情報だけを見て、あたかも知ってるような雰囲気で、相談者にホームをすすめるのは、どうなのか?勉強している、しっかり時間をかけて、自分の目で見て、ホーム長などの人柄やその会社の理念などを知った上で、すすめる相談員と出逢えたとき、良いホーム選びができるのではないかと思います。
有料老人ホーム選びは、
一度入ったら簡単には引っ越せない、大きな決断 です。
その入口となる「紹介センター選び」でつまずくと、
その後の選択肢が大きく狭まってしまいます。
- ネット紹介センターは、情報の入口としてうまく使う
- 対面式紹介センターでは、あなたの「軸」を一緒に整理してもらう
- ケアマネ・地域包括・病院にも、ホーム以外の選択肢を含めて相談する
- 広告やホームページの良い部分だけで決めない
この4つを意識するだけでも、
ミスマッチや後悔はかなり防げる と、20年の現場から感じています。
このブログが、
「まずどこに相談したらいいか分からない」というご家族の
迷いを少しでも軽くするきっかけになればうれしいです。
そして次の記事では、
実際に紹介センターを使うときの
- 見学のチェックポイント
- 相談員との付き合い方
- 「このホームはやめた方がいい」サイン
などを、さらに具体的にお伝えしていきます。



コメント