「もっと早く聞いておけばよかった」
有料老人ホーム選びの現場で、家族から何度も聞いてきた言葉です。
退院が迫っていたり、認知症が急に進んだり、
“待ったなし”の状況で選ばなければならないことも多いのが介護の現実です。
パンフレットを開いても、ホームページを見ても、
どこもよさそうに見えてしまう。
そんな中で入居を決め、
そのあとに後悔してしまう家族には、実は共通点があります。
それは――
「聞かなかった質問がある」 ということです。
「ここで最後まで住めますか?」という質問をしていますか
まず、最も重要で、
多くの家族が聞きそびれている質問があります。
「このホームで、最後まで住めますか?」
とてもストレートで聞きづらい質問に思えるかもしれません。
しかし、この一言で、将来のトラブルの多くは防げます。
なぜなら、
・要介護度が上がったとき
・医療行為が必要になったとき
・認知症が進行したとき
に「そのまま住めるとは限らない」ホームが、実はとても多いからです。
広告やパンフレットには、
「安心」「手厚いケア」「医療連携あり」など、
聞こえのよい言葉ばかりが並びます。
しかし現場では、
・「医療が必要になったら転居を検討してください」
・「重度化すると対応が難しいです」
・「看取りは原則行っていません」
と、あとから知らされるケースが少なくありません。
だからこそ、
「ここで、最期まで過ごすことはできますか?」
という質問を、はっきり確認することが何より大切なのです。
特に、ご病気をお待ちの方、今後その症状が進行する恐れのある方、医療行為の範囲、きちんと聞いていますか?
「医療体制があります」と言われて、
医療法人が運営母体だからと言われて、
それだけで安心してしまっていませんか?
ここで重要なのは、
「具体的に、どこまでの医療対応が可能なのか」
という点です。
以下のように、ひとつずつ確認してみてください。
・点滴は対応できますか?
・インスリン注射はできますか?
・経管栄養はどうですか?
・吸引は?
・ストーマ(人工肛門)のケアは?
・在宅酸素は?
なかなかそこまでと細かくと言う方は、退去しないといけない医療行為はありますか?と聞いてみてください。
「訪問看護が入るので大丈夫です」
と言われた場合も要注意です。
✅ ホームの職員ができること
✅ 外部の看護サービスで対応すること
これを分けて聞くことで、
将来の現実が見えてきます。
中には、このホームでは見れませんが、グループのホームに無料、有料で住み替えできます、みたいなホームもありますので、医療行為に関しては、確認が必要になります。
あと、看取りができますと言ってるホームには、必ず実績を聞いて見てください。
まだやってもいないのに、看取りと言うキーワードを出して、入居促進している、
ヤルヤル詐欺のホームもあるので、しっかりと見極めてください。
認知症が進行したときのこと、話題にしていますか?
入居時は穏やかだった方が、
環境の変化をきっかけに急に症状が進むこともあります。
だからこそ、こんな質問も重要です。
・認知症が進んだらどうなりますか?
・徘徊や介護拒否があった場合は?
・夜間の見守り体制は?
・行動制限はありますか?
・どこまで対応してもらえますか?
この質問に対して、
「大丈夫です」「問題ありません」
とだけ言われた場合は、
かなり注意が必要です。
良いホームほど、
✅ できること
✅ できないこと
✅ 難しいケース
を、きちんと説明してくれます。
意外と多い「費用トラブル」
「月額、この金額で大丈夫ですか?」
この質問も、ほぼ必須です。
特に多いのが、その他にかかる費用です。
・介護が増えたらいくら?介護保険は?
・医療が入ったら?
・オムツ代や消耗品は?
・外部サービスは?
・通院は?
・特別対応は?
といった “あとから増える費用” です。
見学時には必ず、
「状態が悪くなった場合、
月いくらくらいまで想定しておけばいいですか?」
という形で聞いてみてください。
また、今入居者で、重度の方は費用はどのくらいかかっていますか?と目安を聞いとくのも大切です。
具体的な金額で答えてくれるホームは、
信頼性が高い傾向があります。
誰の話を聞いていますか?
説明してくれるのが営業スタッフだけ、
というケースもよくあります。
もちろん営業担当の方もプロですが、
現場の空気感までは分からないことも多いのが現実です。
可能であれば、
・ホーム長
・生活相談員
・看護師
など、実際に入居者と接している方の話も聞いてみましょう。見学の時に、お願いしてみるのも良いと思います。
そこで質問するのは、
・「実際に、重度になる方はどのくらいいますか?」
・「どんな理由で退去されますか?」
・「夜は何人体制ですか?」
・「ここが大変だな…と感じることはありますか?」
少し踏み込んだ質問に、
正直に答えてくれるかどうか。
そこに「本当の姿」が表れます。
まとめ:家族の後悔を減らすのは、勇気ある質問です
有料老人ホーム選びに、
完璧な選択肢はありません。
ですが「後悔を減らす」ことは、できます。
そのために必要なのは、
パンフレットを読む力よりも、
**“質問する勇気”**です。
・最後まで住めるか
・医療はどこまで対応可能か
・認知症が進んだらどうなるか
・費用はどこまで増える可能性があるか
・誰が、日常を支えてくれるのか
これらを丁寧に聞くだけで、
将来の不安は大きく減ります。
私は20年間、有料老人ホーム紹介センターの相談員の立場として、
相談者が質問しずらい事を、見学同行しながら、ホームに質問して、
一番不安な事をその場で解決するお手伝いをしてきました。
対面式の信頼ある有料老人ホーム紹介センターの相談員と出会う事も、
良い有料老人ホーム選びのポイントでもあります。
後日、良い有料老人ホーム紹介センターとは?の記事も書きます。
「もっと早く聞いておけば…」
そう思わないために。
今日できる質問から、始めてみてください
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