【保存版】老人ホーム入居で家族がつまずく5つの壁|現場相談員の質問10&NGワード

老人ホーム入居を迷った家族向けに5つの判断ポイントを解説するアイキャッチイラスト 介護のリアル・実体験

私自身、相談員として家族の話し合いに同席すると、「施設を探すこと」より先に、親の気持ち・家族の罪悪感・兄弟の温度差・お金の不安で止まってしまうケースを何度も見てきました。
特に多いのは、「親を説得できない」「かわいそうで決められない」「兄弟で揉める」「費用が怖い」「退院期限が迫っている」の5パターンです。ここで焦ってしまうと、契約条件の確認が甘くなったり、家族関係が悪化したりして、あとから取り返すのが大変になります。

この記事は“きれいごと”ではなく、相談現場で実際に使う質問(質問10個)と、言ってしまいがちなNGワードをベースに、話し合いを前に進めるためのテンプレとしてまとめました。
「まず何から話せばいいか」「家族会議をどう回すか」「見学や待機の動き方」まで、今日から使える形で整理しているので、必要なところから読んでみてください。

あわせて、「そもそも家族が後悔しやすいパターン」を先に押さえると、この記事の内容がより腹落ちします。
▶︎ 家族が後悔しやすい老人ホーム選び|聞かなかった質問とは?

よくある相談事例① 親が「まだ大丈夫」と拒否…入居を説得できない

よくある状況

「親が老人ホームを嫌がる」「施設入居を説得できない」という相談は本当に多いです。親御さんは“負けた気がする”“自由がなくなる”と感じ、家族は“安全のために必要”と考える。ここが噛み合わないと、話し合いはこじれます。

  • 母(82)が一人暮らし。転倒が増え、服薬管理も不安
  • 娘は仕事と育児で限界。訪問介護だけでは夜間が心配
  • 本人は「他人に世話されたくない」「まだ自分でできる」と拒否

こじれる原因(相談員が見るポイント)

  • 「施設=終わり」のイメージを親が持っている
  • 家族が“結論”から話す(入ってほしい)ので反発が強まる
  • “本人の不安”を言語化せず、正論で押してしまう

相談員が実際に聞く質問10個

  1. 「今の生活で、一番困っていることは何ですか?」
  2. 「逆に、今の生活で“これだけは守りたい”ことは何ですか?」(家・自由・近所など)
  3. 「施設って聞くと、どんなイメージが浮かびますか?」
  4. 「もし夜に転んだら、誰が・何分で来れますか?」
  5. 「救急搬送になった時、本人は誰に連絡してほしいですか?」
  6. 「一番不安なのは“お金”“自由”“人間関係”“家を離れること”のどれですか?」
  7. 「デイサービスやショート(短期入所)はどう思いますか?」
  8. 「見学だけならどうですか?“入るため”ではなく“比較のため”に」
  9. 「条件を3つだけ決めるなら何ですか?」(距離/費用/自由度/医療など)
  10. 「最終的に決めるのはあなたです。家族は“安心の選択肢”を増やしたい」

家族がやりがちなNGワード

  • 「もう無理でしょ」「できてないじゃん」
  • 「だから言ったでしょ」
  • 「迷惑かけないで」
  • 「もう家は無理。施設に入って」
  • 「家は片付けるから」
  • 「危ないから」「みんなそうしてるから」
  • 「あなたのためなんだよ」
  • 「言うこと聞いて」「わがまま言わないで」

言い換えフレーズ/会話の順番テンプレ

  • 「入るため」ではなく「安心して暮らす方法を一緒に探したい」
  • いきなり申込みではなく「見学→体験→短期入所(お試し)」の段階を作る
  • 3ヶ月間クーリングオフもあるからとクーリングオフを上手く利用
  • 最後に「決めるのはあなた」と主導権を返す

声かけ例:

  • 「入るためじゃなくて、安心して暮らす方法を一緒に探したい」
  • 「いきなり入居じゃないよ。まずは見学だけにしよう」
  • 「もし夜に転んだら、誰が何分で来れる?そこだけ決めたい」

次の一手(行動)

  • 条件整理(距離・費用・医療対応・生活自由度)を先に作る
  • 見学先は“施設感が薄い”ところから(反発が減る)
  • 本人を見学に連れていく前に、家族が見学して、動画を撮り見せて安心させる
  • 家族会議の議事録を残して感情論を防ぐ

※上記の場合は、対象者が認知症が無く、ほぼ自立の場合になります。もし認知症が進行していた場合、上記のような説得は難しくなってきます。相談者(息子、娘)さんの覚悟が大切になってきます。第三者の有料老人ホーム紹介センターの相談員や、ケアマネージャー、対象者の方が信頼できる方(かかりつけ医、自治会長、民生委員など)から話してもらうのも一つの手段です。私も自分の親でとても悩みました。息子の言うことなどまったく聞いてもらえないんです。いつも喧嘩になってしまってました。

よくある相談事例② 「かわいそう」罪悪感が消えず決められない

よくある状況

「親を施設に入れるのはかわいそう」「罪悪感が消えない」という悩みは判断を止める強い感情です。大事なのは罪悪感を消すことより、“現実の安全”と“継続可能性”を同じテーブルに載せること。家族が倒れたら共倒れです。

  • 父(86)要介護が進行、夜間の見守りが必要
  • 息子夫婦は在宅介護に頑張るが、睡眠不足で限界
  • 「最後まで家で見たい」「施設は冷たい」という思いが強い

こじれる原因

  • 罪悪感=愛情、のように結びついてしまう
  • 「在宅か施設か」の二択で考え、選ぶほど苦しくなる
  • 親の希望(家)と、現実(リスク)が分離している

相談員が実際に聞く質問10個

  1. 「“かわいそう”って、具体的に何がかわいそうですか?」
  2. 「親御さんが一番嫌がりそうなのは“何を失うこと”ですか?」
  3. 「今の生活で、親御さんが安心できている瞬間はいつですか?」
  4. 「逆に、今一番危ない場面はどこですか?」
  5. 「この1ヶ月で“ヒヤッとしたこと”を3つ挙げると?」
  6. 「在宅を続けるとして、誰が・何を・週何回できますか?」
  7. 「介護する側の睡眠と仕事が崩れたら、親御さんの生活はどうなりますか?」
  8. 「施設=冷たい、のイメージは“何がそう思わせますか?”」
  9. 「在宅+サービス増やす案と施設を同条件で比べるなら、何が基準?」
  10. 「親御さんにとって一番の親孝行は“場所”ですか?それとも“安心”ですか?」

家族がやりがちなNGワード

  • 「施設に入れたら親不孝かな…」
  • 「見捨てるみたいで…」
  • 「世間からどう見られるかな…」
  • 「もう限界だから施設に行って」
  • 「あなたのせいで私の生活が…」
  • 「家族なんだから我慢してよ」

言い換えフレーズ/判断の順番テンプレ

  • 「施設=見捨てる」ではなく「支える場所を変える(関わりは続く)」
  • 二択をやめる:在宅+デイ+ショート併用→限界点で施設検討
  • 施設の不安(自由度・面会・過ごし方)を“見学で潰す”

声かけ例:

  • 「施設は“見捨てる”じゃなくて、安全を確保する手段です」
  • 「在宅が続けられるかは、あなたの体力が持つかも大事」
  • 「“家にいること”より、安心して眠れることを優先しませんか」
  • 「有料老人ホームに入れることって、人生で最後のご褒美と思われている方いっぱいいるんですよ、むしろ幸せなんですよ。」
  • 「認知症で判断力の無い親や、親族、周囲がなんといおうと、最終的に決断するのは貴方です」

次の一手(行動)

  • 在宅の限界点を合意(夜間対応が週◯回超えたら等)
  • 見学で“冷たさ”の不安を潰す(面会・自由度・雰囲気)
  • 短期入所・体験で「見捨てるじゃない」を体感する

よくある相談事例③ 兄弟で対立:在宅派 vs 施設派でもめる

よくある状況

「老人ホーム 兄弟 もめる」「介護方針が合わない」は鉄板の悩み。揉める家庭ほど“正しさ”をぶつけ合いがちです。相談員としては、先に結論を出すより、役割と条件の合意から入ると前進します。

  • 母(84)認知症が進み、火の不始末や徘徊が心配
  • 長女:施設派(安全優先)/長男:在宅派(本人の気持ち優先)
  • 介護負担は長女に偏り、不満が蓄積

こじれる原因

  • 「親のため」と言いながら、実は負担の偏りが核心
  • 連絡頻度・金銭負担・緊急時対応が曖昧
  • 介護の現場を見ていない人ほど理想論になりやすい
  • 多くは、財産の問題と関係する場合が多々ある

相談員が実際に聞く質問10個

  1. 「今起きている“事実”を時系列で3つ挙げると?」
  2. 「この1ヶ月で一番危なかった場面は?」
  3. 「実務(通院・買物・夜間対応)は誰が何回やっていますか?」
  4. 「在宅派の方は週何回・何時間対応できますか?」
  5. 「緊急時は誰が何分で駆けつけますか?」
  6. 「費用負担はどう分けますか?上限はいくら?」
  7. 「親御さんが一番嫌がるのは“何を失うこと”ですか?」
  8. 「親御さんが安心できる条件は何ですか?」
  9. 「在宅継続と施設を同じ軸で比べる基準は?」
  10. 「結論はいつまでに?期限を決めますか?」

家族がやりがちなNGワード

  • 「あなたは何もしないくせに」
  • 「口だけ出すな」
  • 「親不孝」「冷たい」
  • 「長男なんだから/娘なんだから」
  • 「じゃああなたが全部やって」
  • 「もう関わらない」

言い換えフレーズ/揉めない会議テンプレ

  • 「責める」ではなく「負担を見える化して分担を決めたい」
  • まず決めるのは結論ではなく「役割・費用・緊急時対応・期限」

声かけ例:

  • 「まず正解探しより、誰が何をできるかから決めましょう」
  • 「在宅派なら、週何回・夜間何回対応できますか?」
  • 「感情が出るのは当然。だからこそルール(役割・期限)を作りましょう」

次の一手(行動)

  • 家族会議シート(課題/役割/費用/宿題/期限)を作る
  • 在宅派に“体感”してもらう(通院同行・夜間対応を1回担当)
  • 口約束ではなく週の担当表に落とす
  • 親族感だけで揉めるのであれば、第三者の人を中にいれましょう。
  • 在宅派の方に、施設介護の良さ、施設を見学してもらい体感してもらう

よくある相談事例④ 費用が不安で決められない(年金・貯金・追加費用)

よくある状況

「老人ホーム費用が不安」「年金で入れる?」「有料老人ホーム高いのでは」は検索も多いです。家族は“入居一時金が払えない”で止まりがちですが、実際は月額・医療費・介護保険・生活費をセットで整理すると選択肢が増えます。

  • 年金は月◯万円、貯金は◯◯万円
  • 一部のパンフレットを見て「高すぎる」と思考停止
  • 子どもは援助できるが上限があり将来が不安
  • 有料老人ホームは高額というイメージ

こじれる原因

  • 月額だけ見て、追加費用その他の費用(介護保険の負担金(1割、2割、3割)・医療・消耗品)を見落とす
  • 在宅コスト(サービス増+家族負担)を比較していない
  • 「払えるか」ではなく「何年持つか」を計算していない

相談員が実際に聞く質問10個

  1. 「収入(年金等)は月いくら?」
  2. 「今の生活費は月いくら?」
  3. 「貯金・資産はどこまで介護に使ってよい想定?」
  4. 「家族援助は月いくらまで/何年まで可能?」
  5. 「優先順位は?(距離・費用・医療・自由度)」
  6. 「介護度が上がった時の費用変動は確認した?」
  7. 「医療対応が必要なら追加はいくら?」
  8. 「オムツ・理美容・嗜好品など生活費は別でいくら見ますか?」
  9. 「在宅を続ける場合、サービス増で月いくら?」
  10. 「何年もつ計算(実質月額)をしましたか?」

家族がやりがちなNGワード

  • 「高すぎて無理」
  • 「どうせ払えない」
  • 「見学しても意味ない」
  • 「貯金ないの?」
  • 「じゃああなたが払って」

言い換えフレーズ/お金の整理テンプレ

  • 「高い」ではなく「実質月額はいくらか?」
  • 「払えるか」ではなく「何年持つか?」
  • 「一時金が無理」→月払い型も含めて比較する
  • 探す場所を広げれば、低料金のホームも選択肢に出てくる

声かけ例:

  • 「まず続けられる上限(月額)を決めましょう」
  • 「月額だけじゃなく実質月額(その他の費用も込み)で判断します」
  • 「在宅にもコストがかかるので同条件で比べましょう」

次の一手(行動)

  • まず“上限月額”を家族で合意(ここが決まると速い)
  • 追加費用一覧(介護度上昇・医療・オムツ)を必ず確認
  • 在宅コストも計算して比較(サービス増の現実)
  • インターネットの紹介センターで、費用で検索したり、対面式の有料老人ホーム紹介センターの相談員に確認、相談してみる。

よくある相談事例⑤ 施設が空いてない/退院が迫る(つなぎ方・待機対策)

よくある状況

「特養が空かない」「近くの希望する有料老人ホームも満室」「退院後の行き先がない」は緊急性が高い相談です。重要なのは、理想の入居先を探しながら、今を安全に乗り切る“つなぎ(仮住まい)”を設計することです。あわてて、見学もしないで終の棲家を決めるのは危険です。絶対やめてください。

  • 退院日が近いが自宅復帰が不安
  • 特養は待機、希望の有料も満室
  • 焦りで「とりあえず契約」しそうになる

こじれる原因

  • 「良い施設に入れたい」と「今すぐ必要」が衝突
  • 退院期限のプレッシャーで判断疲れ→失敗しやすい
  • 住み替え前提なのに解約・返金を確認していない

相談員が実際に聞く質問10個

  1. 「退院日はいつ?いつまでに受け入れ先が必要?」
  2. 「在宅が難しい理由は?(夜間・認知症・医療など)」
  3. 「介護度・医療行為の有無は?」
  4. 「優先順位は?(安全安心>医療>距離>費用…)」
  5. 「緊急時、誰が何分で来れる?」
  6. 「つなぎ期間はどれくらい想定?(1ヶ月/3ヶ月/半年)」
  7. 「本命の施設はどのタイプ?希望条件は?」
  8. 「キャンセル待ち登録や複数候補は動けてる?」
  9. 「住み替え前提なら、解約・返金・違約金は確認できてる?」
  10. 「診療情報提供書」など医療情報はすぐ用意できるか

家族がやりがちなNGワード

  • 「もうどこでもいいから早く決めよう」
  • 「見学する時間ないし電話で決める」
  • 「とりあえず入れて後で考えよう(条件確認なし)」
  • 「在宅で何とかなるよ(根拠なし)」
  • 「仕事休めばいい」

言い換えフレーズ/緊急時の行動テンプレ

  • 「どこでもいい」→「優先順位(安全・医療)だけは守る」
  • 「見学できない」→「最低限の確認項目を電話で潰す」
  • 「とりあえず」→「住み替え前提なら解約条件を先に確認」
  • ショートステイ、ミドルステイ、入居金ゼロ円プランなどのホームで中継ぎ

声かけ例:

  • 「本命探しと今の安全確保は別。まず“つなぎ”で時間を買いましょう」
  • 「焦るほど条件を崩しがち。安全と契約条件だけは守りましょう」
  • 「住み替え前提なら、解約・返金を最初に確認すれば安心です」

次の一手(行動)

  • 今日やることを3つに絞る(退院日・医療情報確認→つなぎ先アプローチ→本命探し)
  • 急ぎでもしっかり確認する(医療対応、夜間体制、追加費用、退去条件、解約返金)
  • 家族の在宅対応は“気合い”ではなく回数・時間・担当者で決める

まとめ

以上のように、老人ホーム選びで家族がつまずくポイントは、大きく分けると5つあります。
①親の拒否(説得できない)
②罪悪感(かわいそうで決められない)
③兄弟対立(在宅派 vs 施設派でもめる)
④費用不安(年金・貯金・追加費用の整理ができない)
⑤空きがない/退院が迫る(焦りで失敗しやすい)

相談現場で感じるのは、失敗するご家庭ほど「施設を探す前に、会話が崩れている」という点です。
親御さんは「施設=自由がなくなる」「家を失う」「負けを認める」ように感じてしまい、家族は心配が強いほど正論で押してしまう。ここで言葉がすれ違うと、同じ話を何度も繰り返し、関係が疲弊していきます。

だからこそ、どのケースにも共通する最重要ポイントは「説得」より「合意」を目指すことです。
結論を急ぐほど関係はこじれやすいので、目的を「入居」ではなく、**“安心して暮らす仕組み作り”**に置き換えてください。
見学や申込みはその後で十分です。順番が逆になると、現場では「焦って契約条件を見落とした」「あとから追加費用に驚いた」「住み替え前提なのに解約条件を確認していなかった」という後悔につながりやすくなります。

そして、親や家族の本音は“質問の仕方”で引き出しやすくなります。
この記事で紹介した「質問10個」を使い、NGワードを避け、会話の順番(事実→不安→選択肢→条件→次の一手)を整えるだけで、状況が前に進むご家庭は本当に多いです。
特に、**「二択にしない(在宅+サービス強化/ショート併用/住み替え前提)」**と、親も家族も息がしやすくなります。

もし家族だけで話し合うと感情が強くなりすぎる場合は、第三者(相談員・ケアマネ・地域包括支援センターなど)を入れてください。
第三者が入ると、「誰が何をするか」「費用の上限はいくらか」「緊急時は誰が動くか」といった“決めるべきこと”が整理され、家族会議が一気に現実的になります。

一番大切なのは、親御さんを守ることと同時に、介護する家族が倒れない形を作ることです。
無理を続ける前に、まずは今日できる一歩――
①親が守りたい条件を3つ書く/②見学は1件だけ予約する(入居前提ではなく比較目的)/③家族の役割と期限を決める
ここから整えていきましょう。あなたの選択は「見捨てる」ではなく、親御さんの安心と尊厳を守るための準備です。

「話し合いは整った。次は“選び方の落とし穴”を避けたい」という方は、施設の“種類”で失敗しない視点も必ず押さえてください。
▶︎ その施設本当に大丈夫?有料老人ホームの「種類」で失敗する家族の共通点

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