私が現場で20年以上、老人ホーム選びの相談を受けてきて、
特に多いのが、施設に対してのイメージが悪く、有料老人ホームというと高いと思っているケースです。
家族は不安と上記のようなイメージだと思って見学に行くのですが、ほとんどの方が、見学によって施設のイメージが変わる方がほとんどです。
このまま続けていいのか分からなくなった日
「今日も、怒鳴ってしまった…」
夜中、誰もいないリビングでそう呟いた家族は、自分を責めながら涙をこぼしていました。
在宅介護が始まって数か月。最初は「家で最期まで見てあげたい」と思っていたのです。
でも現実は、想像していた“介護”とはまったく違いました。
昼夜逆転、トイレの失敗、何度も同じ質問。
寝不足のまま仕事に行き、帰宅すればまた介護。
「頑張らなきゃ」「私がやらなきゃ」
そう思えば思うほど、心も体も削られていきました。
在宅介護の現実は、きれいごとではなかった
親は元々まじめで、家族思いの人でした。
でも介護が必要になってから、少しずつ変わっていきました。
- 夜中に何度も起きて家の中を歩き回る
- トイレに間に合わず、失禁してしまう
- できないことを指摘されると、怒り出す
そのたびに家族は対応し、片付け、謝り、なだめる。
それが毎日、毎晩、終わりなく続きました。
「もう限界…」
そう感じたのは、決して弱いからではありません。
「施設に入れるなんてかわいそう」その思い込み
在宅介護は、一人や一家族で背負うには重すぎる現実があるのです。
それでも、有料老人ホームという選択肢は、すぐには浮かびませんでした。
- 施設に入れるのはかわいそう
- 家で看るのが家族の責任
- 世間からどう思われるだろう
そんな思いが頭をよぎり、何度も立ち止まりました。
でも、ある日ふと気づいたのです。
一番つらそうなのは、親本人かもしれないと。
介護される側も、常に申し訳なさを抱えています。
家族の疲れ切った顔を見るたび、心が苦しくなっていたのです。
半信半疑で踏み出した、有料老人ホームという選択
限界を超えたところで、ようやく相談につながりました。
正直、最初は「本当に良くなるのだろうか」と半信半疑でした。
見学に行った有料老人ホームでは、
- 介護スタッフが自然に声をかけている
- 入居者が穏やかな表情で過ごしている
- 専門職がチームで支えている
その光景を見て、家族は初めて
「ここなら任せられるかもしれない」
と感じました。
入居後、少しずつ起きた“変化”
入居してすぐ、劇的に何かが変わったわけではありません。
でも、確実に“空気”が変わりました。
- 夜中の徘徊が減った
- 表情が柔らかくなった
- 「ありがとう」と言葉が戻ってきた
家族も、久しぶりに夜しっかり眠れるようになりました。
会いに行く時間が「介護」ではなく、「面会」になったのです。
怒鳴ることも、焦ることも、ほとんどなくなりました。
家族が救われたのは、親を手放したからではない
この事例で大切なのは、
家族が楽をしたわけではないということです。
「全部任せた」ではなく、
「専門家と一緒に支える」選択をしただけ。
在宅介護を続けていたら、
親も、家族も、どこかで壊れていたかもしれません。
この実話から伝えたいこと
在宅介護には限界があります。
それを認めることは、逃げでも裏切りでもありません。
有料老人ホームへの入居は、
家族と本人、両方を守る選択肢の一つです。
「もっと早く相談すればよかった」
これは、多くの家族が口にする言葉です。
もし今、
- つらい
- もう無理かもしれない
そう感じているなら、それは立派なサインです。
一人で抱え込まないでください。
助けを借りることは、愛情の形でもあるのです。
※この実話は「施設介護に助けられた5つの実話」シリーズの一つです。
ほかの事例(在宅介護の限界/認知症介護/独居の不安 など)もまとめて読みたい方は、親記事で全体像を確認できます。


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