20年現場で見てきたプロが「理想と現実」を本音で解説
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、
高齢者が安心して暮らせるよう、安否確認・生活相談サービスが付いた賃貸住宅です。
国土交通省と厚生労働省が関与し、
「高齢者が自立した生活を続けられる住まい」として制度化されました。
ただ、20年以上この業界で相談を受け続けてきた立場から言うと、
制度の“建前”と、現場の“実態”には大きなズレが生じています。
この記事では、
サービス付き高齢者向け住宅の基本から、
なぜミスマッチが起きるのか、なぜ選ぶのが難しいのかまで、
プロの視点で正直に解説します。
サービス付き高齢者向け住宅の本来の定義と目的
本来、サービス付き高齢者向け住宅は、
- まだ比較的お元気
- 一人暮らしに少し不安が出てきた
- できるだけ自由な生活を続けたい
そんな高齢者のための**「安心できる賃貸住宅」**として設計されました。
制度上は、
原則25㎡以上の居室面積が求められ、
プライバシーを保ちながら生活できることが前提でした。
つまり、
「施設」ではなく
**「自宅の延長線上にある住まい」**が理想像だったのです。
しかし現実は違う|18㎡の居室が多い理由
実際のサービス付き高齢者向け住宅を見ると、
18㎡前後の居室が多いのが現状です。
これは、
共有スペース(食堂・談話室など)を広く取ることで、
居室面積の要件を実質的にクリアできる制度設計になっているからです。
その結果どうなったか。
- ベッドを置いたらほぼいっぱい
- 家具や思い出の品が置けない
- 「一人暮らし感」が薄い
という、介護付き有料老人ホームに近い居住環境のサ高住が増えました。
なぜ「元気な方向けのサ高住」が少ないのか
よくある疑問がこれです。
「本来は元気な人向けなのに、
なぜ介護仕様のサ高住ばかりなの?」
理由はシンプルです。
元気なうちは、なかなか入居しないから。
- 自宅にまだ住める
- 引っ越しの必要性を感じない
- お金を使いたくない
結果として、
「元気な高齢者向け住宅」は入居者が集まりにくいのです。
そこで事業者は、
- 訪問介護
- 訪問看護
- 定期巡回随時対応型サービス
などを組み合わせ、
「介護ができます」「重たい方も対応できます」
という形にシフトしていきました。
サ高住が“介護付きホーム化”していった現実
こうして、
本来は賃貸住宅だったサ高住が、
実質的に介護施設のような運営になっていきました。
- 居室は狭い
- 生活リズムは施設寄り
- 入居者の多くが要介護
結果として、
「元気なうちに入ろうと思ったら、
周りは介護度の高い方ばかりだった」
というミスマッチが起きています。
最近増えている「医療・難病特化型サ高住」
さらに近年増えているのが、
医療依存度の高い方向けのサ高住です。
- 透析対応
- 難病指定の方受け入れ
- 医療法人がバックについた運営
これは、
療養型病床の削減・廃止により、
その受け皿としてサ高住が使われている背景があります。
制度上はサ高住でも、
実態は療養型に近い住まいというケースも少なくありません。
実際に起きているミスマッチ事例
現場では、こんな相談が本当にあります。
- 元気なうちに入居したが、部屋が狭く荷物が置けない
- 一人暮らしが寂しかったから入居
- 周囲が重度介護の方ばかりで孤独を感じる
- 認知症が進み、対応できず退去になった
- 「賃貸だから安心」と思ったら、実態は施設的だった
これらは、
サービス付き高齢者向け住宅が悪いのではなく、
選び方が難しすぎることが原因です。
介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームの違いを見てみよう
サービス付き高齢者向け住宅が向いている人・向いていない人
向いている人
- 状態と住宅の実態があっている
- 将来の住み替えも想定できる
- 医療・介護体制を理解した上で選べる
- 安心安全の居住スペースで、まだまだアクティブに生活したい
- 外部のデイサービスを利用したい
向いていない人
- 「元気向け」と思い込んで選ぶ人
- 終の住まいとして考えている人
- 「人とのふれあいをより重視している人」
プロからの本音|サ高住選びが一番難しい理由
サービス付き高齢者向け住宅は、
✔ 住宅
✔ 施設
✔ 医療拠点
このどれにも振れる可能性がある住まいです。
だからこそ、
パンフレットや制度説明だけで選ぶと、
現実とのギャップが生まれやすい。
「どんな人が、どんな目的で入っているか」
これを見抜けるかどうかが、サ高住選びの分かれ道です。
実際に見学する際には、パンフレットでは分からないポイントを
事前にチェックしておくことがとても重要です。
有料老人ホームやサ高住の見学時に必ず確認してほしいポイントは、こちらの記事でまとめています。
【保存版】失敗しない有料老人ホーム選び|20年の現場経験から伝える“見学の極意”とチェックリスト
まとめ|サ高住は“合えば良いが、選ぶのが最難関”
サービス付き高齢者向け住宅は、
決して万能な住まいではありません。
本来の定義、
現在の運営実態、
医療・介護の方向性。
これらを理解した上で選ばなければ、
ミスマッチが起きやすい住まいです。
もし
「自分たちだけで判断するのは不安」
そう感じたら、
現場を知る専門家に一度相談することを強くおすすめします。
なお、高齢者向け住宅への住み替えでは、
「どの引っ越し業者に頼めばいいか分からない」という声も多く聞きます。
高齢者の住み替えは、
・荷物の量が多い
・立ち会いが難しい
・家族の負担が大きい
といった特徴があるため、業者選びもとても重要です。
実際に多くの方が利用している、
高齢者の住み替えにも対応した引っ越し業者を、
以下でまとめています。
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